電子小説『ようこそ、守谷家へ』kindleから配信中です。あらすじ、冒頭文あり
2016 / 05 / 07 ( Sat ) 09:02:16
 ibookstore、kindleからも電子書籍を出版しています。 


 今朝の東京は晴れです。

 抜けるような青空です。

 おはようございます、kakisakasanです。


 現在、わたくし垣坂弘紫は短編小説『Kill The Japanese 完全版』をアマゾンkindleから配信しています。

 お話は、千葉県は木更津市で犬を飼っている家族の物語です。

 心温まるお話ですので、是非読んで頂けたらと思います。


 ようこそ、守谷家へ

 400字詰め原稿用紙換算枚数 267枚(縦書き)
 お値段:およそ700円。


 あらすじ

 時代は1980年代前半。
 春の土砂降りの日、守谷家に一匹の犬が迷い込んで来る。
 一家の主である一郎は、この子犬を飼いたいと思うが、犬恐怖症の民代は猛反対する。
 しかし、我が子と接する子犬の姿を見て、民代もこのままではいけないと犬恐怖症を克服しようと思うようになる。
 しかし、急激な努力は民代の心に過度の負担を与えてしまい、子犬に触れた途端、民代は嘔吐してしまう。
 一郎は、その姿に諦めを覚えて里親を探そうと思うが、意外にも、民代はそれによって飼いたいと言い出した……
 これは、守谷家と愛犬ララの触れ合いを、日常の生活を通して描いた家族の物語です。


 冒頭文

 迷い犬

 日差しも強くなった、春の午前だった。
 民代は洗たくものをカゴに入れて、庭先に出てきた。つっかけを履くと、居間の窓際に置いたカゴから、からまった洗たくものをほぐしては、一枚一枚ハンガーに掛けていった。
 ハンガーは、長ひさしに吊るされた物干しざおに掛けてある、洗たく用のハンガーだった。もう何年も掛けられたままのようで、色あせたピンクが時の積もりを感じさせた。
 民代は体をよじって、次のシャツを手にした。が、ほぐし切れてなかったらしく、一郎のパンツが釣られて、民代の足もとに落ちた。
「あっ、やっちゃった」
 民代は渋った顔をしながらも、拾ってパンツをはたくと、軽く眺めて、
「うん、大丈夫。ララもそう思うでしょ」
 と言って、当たり前のように目を落とした。
 しかし、そこにララの姿はなかった。
「……また、やっちゃった」
 民代は一人苦笑いしながら、
「だめね、わたしって」
 と、言い聞かせるようにつぶやくと、再び洗たくものを干し出した。
 しかし、ペンキも新たに塗られて、きれいに修理された犬小屋は、今にも帰って来る主を待っているかのようであった。
 
 ララが守谷家に来たのは、今からもう十六年も昔のことである。
 あれは春の長雨の、土砂降りの日だった。
 健康のために、毎日自転車通いをする一郎は、かっぱ姿で自宅に帰った。
「ただいま」
 ひどい雨に、やれやれとした顔で、脱いだかっぱから雨水を払っていると、居間のドアが急に開いた。
 現れたのは、顔を真っ青にした民代であった。
 民代は一郎と同じ歳で、今年三十二歳になる。気さくな楽天家で、実直な一郎とは正反対な性格が、かえって相性をよくさせていた。
 しかし、そうすべてがうまくいってる訳ではない。
 一郎は、民代の驚きに、またかとうんざりした。
 民代が驚くと言えば、迷うことなく、それは犬だ。民代は大の犬嫌いだった。正しくは、犬恐怖症だった。
 小学三年生の時、遊びに行った親戚の家に、一匹の秋田犬が飼われていた。おとなしくて、子供好きなその犬は、無邪気にじゃれついただけだったが、立ち上がった秋田犬は、当時の民代よりもずっと大きかった。
 見上げた民代は、後に、熊に襲われたようだったと言ってるように、恐ろしさはあの時から民代の中でずっと根を張っている。
 それ以来、どんなに小さくても、また、おとなしい犬でも、民代は犬がだめになった。
 しかし、結婚してもう七年になるが、死神に見入られたほどの蒼白を見た覚えは、どんなに記憶をたどっても、思い出せなかった。
「どうしたの」
「車、車の下」
 民代は表情ひとつ変えず、パクパクと動く口は、まるで糸で操られている人形のようであった。



 kindleから配信中




ようこそ、守谷家へ

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